「もっとクリエイティブになりたい」
これは、クリエイターに限らず多くのビジネスマンが望むことではないでしょうか。今回は、25件もの調査研究や学術論文をベースに、クリエイティビティの上げ方についてご紹介していきます。クリエイティビティに関する調査は多数ありますが、今回は特に実用的なものを集めています。
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「制約」がクリエイティブを生む
多くのクリエイターが同意するところだと思いますが、制約は新しいクリエイティブを生み出します。
クリエイティブになれない人たちの問題点は、「精神的に最も楽な道」を選択することであるということが研究によってわかっています。この「精神的に最も楽な道」とは、すでにある資源を使おうとすることや、持っている資源のすべてを使おうとすることなどを指します。これでは、どんなクリエイティブな人であってもコンフォートゾーンから抜け出すことができず、斬新なやり方やアイデアを生み出せない可能性が高いのです。
制約とは、一見ネガティブなものです。使えるものが少ない。人より不器用である。予算がない。しかし、だからこそ生まれるものがあります。
たった一つの技法から離れることで、自分の芸術の枠組みを覆す、創造力の高め方を手に入れたのです。
制約を課すと創造性は高まるだろうか?限界を超えるためには、まず始めに制約が必要だったのです。
フィル・ハンセン:震えを受け入れる(下記動画)
映画「SAW」や「パラノーマルアクティビティ」はどちらも大ヒットした名作ですが、予算が非常に少なかった中での製作だったことでも有名です。SAWの舞台は狭いバスルームで出演者は10数名、パラノーマルアクティビティに至っては製作予算15,000ドル、出演者はなんと5人という規模なのです。
問題を再定義する
ある研究によると、クリエイティブな人は、そうでない人と比べて、問題を根本的なレベルで再定義する傾向にあることが分かりました。これは事業においてもとても重要なことです。
非常に有名なたとえ話をしましょう。
ある老人が、広場でレンガを積んでいる職人たちにたずねました。「そこで何をやっているのですか」職人A:見ての通り、レンガを積んでいるんだよ。
職人B:大きな建物を作っているんだ。
職人C:歴史に残る立派な教会を作っているんだ。
職人D:みんなが集まって幸せな気持ちになれる場所を作っているんだ。
この仕事は、そもそもなんのためだったんだろう?そう考えると、あなたの仕事も、とらえ方がガラリと変わるかもしれません。そして、そのような思考的傾向は、あなたに新しいクリエイティビティを授けてくれるでしょう。
精神的な距離を取る
仕事から遠ざかることは創造性の壁を打ち破るために非常に有益であることは長く知られています。有名なところだと、ビル・ゲイツも定期的に数週間の休暇を取り、仕事から距離を置いています。しかし、こういった時間的、物理的な距離ではなく、「精神的な距離」を置くこともクリエイティブを大きく向上させる方法だということが分かりました
事実、ある研究によると、仕事のことを自分事ではなく、だれか違う人の問題であるかのように遠くに考えるように求められたとき、被験者たちは洞察的な問題を2倍以上解決することができたといいます。仕事を、現在のポジションや都合から離して想像してみましょう。こうすることで、問題を理解しやすく、そして本質を把握しやすくなるため、より高度な考えができるようになるのです。
いつもこの状態じゃ、クリエイティブなことはできそうもないよね。
他人事として捉えてみる
もう少し掘り下げてみましょう。他人の問題に関する決定をするときのほうが、自分自身に関する決定をする時よりも、クリエイティブな答えが出るとする研究があります。医者の不養生のような話ですが、確かに人は他人に関することのほうが、自由に発想を広げ、結果的にクリエイティブな答えを導き出せるようです。
たとえばこちらの実験では、自分事として捉えてもらったり、他人事として捉えてもらったりと、心理的距離を変えて様々な作業を被験者にしてもらいました。一例として、「エイリアンを描く」という作業をしてもらうと、自分事として描いてもらった場合は、苦戦して動物の典型的な特徴を持ったありきたりなエイリアンを描く人が多くあらわれました。一方で、他人事として描いてもらった場合は、より革新的で特徴的なエイリアンを描く人が多かったのです。
煮詰まったら空想にふけろう。あくまでも煮詰まったら、ね。
様々な研究(1、2)で、空想にふけったり、昼寝をすることは、創造力を高めて問題解決に繋がる、とされています。しかし、実は大きな前提条件があることは見逃されがちです。それは、単純に空想にふけったり昼寝をしてもダメで、問題に向き合い、頭を絞りに絞ったあとの空想や昼寝が効果がある、ということです。言われてみれば非常に当たり前のようではありますが(汗)
煮詰まったら、関係ない空想をしてみたり、昼寝をしたりしてみましょう。なぜか急に、良いひらめきが生まれるかもしれませんよ。(この経験、皆さんもしたことありますよね?)
※これは実は孵化期効果と呼ばれるものです。興味があったら調べてみてください。
空想の世界なら、どこで何をしてもいいのです。(私はよくハワイのビーチにいます)
「非現実的」に身を置こう
何か不合理なことや、非現実的なことを読んだり、体験することで、パターン認識力や、創造的思考力を向上させることができるということが分かっています。非現実に身を置くといってもそんなに難しいことではなく、小説や漫画を読むことでも良いのです。変わった芸術作品を見ることも良いでしょうし、トリックアートに行ってみるのも良いでしょう。
ファンタジーやSFがいいかもね。
大変?辛い?じゃあ今こそクリエイティブなことをしなくちゃね!
長い間、クリエイティブな作業をするときは「幸福な心理状態」が理想的であるという研究が幅を利かせていました。しかし、職場での創造性に関する最近の新しい研究では、今までの考えを覆す大胆な結論が提示されています。
ポジティブな感情、もしくはネガティブな感情のいずれかが高まっているときに創造性が増す
ネガティブな感情は創造性を消す可能性がある一方で、創造性を駆り立てる可能性もあるということなのです。怒りなどのエネルギーが高まっているときは、そのエネルギーを何かを作ることに回してみましょう。
「爆発しろ!」のエネルギーをクリエイティブに活かしたい…
身体を動かす
「もっと運動する」ことはほぼメリットしかありません。おそらくほとんどの人間にとって、最も望ましい習慣ではないでしょうか。運動は、単に体を健康に保つだけでなく、創造的思考を後押しすることもできます。行き詰って休憩を取りたくなったら、喫煙室に行ってコーヒーを飲むかわりに、会社の周りを5分ほど散歩してみてはどうでしょうか?
街は新しい発見に満ちているものです。
「もしああだったら?」と問う
反事実的思考のプロセスに関する研究によると、すでに起きた(終わった)出来事について改めて考えをめぐらし、「他にできていたことはなかったか?」「もっとよくできていたのではないか?」と自分自身に問うことで、創造性を上げることができると分かっています。(※反事実的思考とは、現実とは違う、たとえば「私がもし上場企業の社長だったら」「あと10秒早く会社を出ていてこの電車に間に合っていたら」というような思考をすること)
本当に「変わった体験」をする
自分が知る中で、一番クリエイティブな人を思い浮かべてみてください。普通の人と比べると、「変わっている」と表現される人物ではないでしょうか?
研究によると、クリエイティブだとされる人たちは、実際に一般の人が体験したことがないような、変わった体験をしたことがあるケースが多いのです。たとえば(この研究にあるように、親を亡くすなど)トラウマ的出来事が起こっていることが多い、ということが判明しています。しかし、クリエイティブになるために悲劇的な出来事が必要などと心配する必要はありません。体験がポジティブがネガティブか関係なく、変わった体験をすることが大事なのです。また、変わった体験を求めるメンタリティも重要だとされています。最近の創造性に関する研究(2012年)でも、下記のように結論付けられています。
多様な経験をすることは、パターンを破る助けとなり、より柔軟でクリエイティブな思考を生む
非常に当たり前に聞こえるかもしれませんが、多様な経験を持つ集団(珍しい出来事に積極的に(しかも疑似体験ではなく)関わっている)を、そうでない集団と比較すると、認知的柔軟性を増した、という結果が得られています。
普段しないことを、しよう。
なぜ「違うこと」がクリエイティビティの源になるのか
慣れや停滞は、創造性を打ち消すとする研究があります。つまり、周りの人から見て「変な行動をしている」場合であっても、本人にとってそれが「慣れ」であり「停滞」であれば、クリエイティビティは減少していくことになります。クリエイティビティを伸ばしたいのであれば、常にコンフォートゾーンから出るように心がけましょう!
クリエイティブな人たちの性格的特徴
クリエイティブな人たちはどんな性格で、どんなことを考えているのか…これを解き明かすのはなかなか簡単ではありませんが、様々な研究を複合的に組み合わせてみると、解決の糸口がつかめるようです。クリエイティブな人たちに共通するものをいくつかご紹介します。※クリエイティブな人すべてに共通するものではなく、また、クリエイティブになるための条件ではありませんのでご注意を。
風変り
クリエイティブな人たちが変わっていることは分かりますが、実際にどう変わっているのでしょうか?ハーバード大学の研究によると、クリエイティブな人たちは潜在抑制が低い傾向にあるということが分かりました。潜在抑制とは、下記のようなことを言います。
潜在抑制というスキルは、一般的には、注意力の一部として欠かせないものとして考えられている。知覚という外からの刺激によって注意がそらされることを防ぐからだ。[潜在抑制とは、不必要な刺激を無意識にシャットアウトする現象]
[ソース]
これは動物が持つ、無意識で本能的な能力です。たとえば昼寝中に轟音が響き渡ったら驚いて飛び起きますが、それが近所の工事によるものだと分かると、轟音による刺激をある程度無視できるようになります。つまり刺激に対して「慣れる」わけです。潜在抑制が低いとは、この「慣れる」ことができない人のことを指します。この研究で「きわめて優秀な創造性を発揮した学生」たちは、潜在抑制の異常な低さが7倍もの割合で見つかりました。
よく「疎外感」を感じている
クリエイティブな人は、比較的疎外感や孤独を感じやすい環境を作ってしまいやすいと言えます。たとえば、仲間に拒絶されたと感じたり、それを受け入れる感情は、クリエイティビティに貢献するという研究があります。また、クリエイティブな人はそうでない人よりも、他人からあまり信用されないという研究もあり、こういった側面も孤独感の一因になっているのかもしれません。
クリエイティブな人には様々な性格の人がいるので、もちろん外交的で社交的な人もたくさんいます。しかし、友人や同僚を簡単に作れる人でも(おそらくは勝手に)孤独感を感じている人が多いようです。
クリエイティブな人には様々な性格の人がいるので、もちろん外交的で社交的な人もたくさんいます。しかし、友人や同僚を簡単に作れる人でも(おそらくは勝手に)孤独感を感じている人が多いようです。
(めんどくさい性格ですね)
頭が良く責任感がある、一方で未成熟で無責任でもある
創造性は知性と比例するということは昔から分かっていることですが、ある一定を超えるとそうでなくなるという研究が多くあります。天才的な創造性を持つ人たちは、未熟さゆえに豊かな創造性を持っているということです。つまり、責任感があることと、無責任な部分があるということは、クリエイティブな人にとっては非常に絶妙で必要なバランスを生んでいる、と言えます。確かに、起業家の家入さんなんかは良い意味でこういった傾向がありそうな気がします。
横柄である
クリエイティブな人と人間関係を築いていくことは難しいのでしょうか?
「感じの良さ」と創造性に関する研究では、両者は関係しないとされていますが、より新しい研究で分かったことがあります。すべてのクリエイティブな人がそうとは言えませんが、謙遜と創造性にはかなり否定的な関係があるようです。つまり謙遜屋はクリエイティブになりにくく、逆にクリエイティブな人は自慢屋で横柄である、と言えます。ただし日本の場合は社交上、自信や不遜さを隠して仕方なく謙遜するケースもかなり多いと考えられますので、やや当てはまりにくいかもしれませんね。
(少し)頭がおかしい
そろそろクリエイティブな人をこき下ろすこともしておきましょう。クリエイティブな人は少し頭がおかしく、どちらかというと意地悪だと示す研究がたくさんあります。
たとえば、クリエイティブな人はほかの人より嘘がうまく、よくずるをするし、言い訳もうまい、という研究は枚挙にいとまがありません(1・2)。さらに言うならば、創造性は知性よりも不誠実さと密接に関係するのです。これは、クリエイティブでありながら自分の不誠実さを後ろめたく抱えていた人には嬉しい知らせかも知れません。
しかし、創造的思考をする人には犯罪者が非常に多い、という研究もありますので、あくまでも合法の範囲にしておきましょう。
しかし、創造的思考をする人には犯罪者が非常に多い、という研究もありますので、あくまでも合法の範囲にしておきましょう。
心配な点として、クリエイティブな人々はややサイコパスであるとされ、これは共感性が低い、冷たい、そして自己中心的というような特性が含まれることを意味します。さらに悪いことに、クリエイティブな人は潜在抑制が低いことが要因となり、精神的な病になる可能性が高いとされています。
あなたと、その周りはどうでしたか?
これらの調査で、強く同意できた、もしくは全くの反対だ!と感じるところはありましたか?自分自身は、そして周りにいる人たちは、どこか当てはまりそうですか?言われてみれば当たり前の調査結果も多かったかもしれませんが、一つでもあなたがよりクリエイティブになる助けになる文章があれば幸いです!最後のお願いです、ぜひ、この記事をシェアしてください!